手形割引の裏書のやり方と訂正方法をまとめます

金融機関におられる方や企業経理の方以外、私も含めて財務経理はあまりご存知ない方が多いのではないでしょうか。私は職業柄いろいろな業種の方と接することになりますので、広く浅く知識を持っておこうと努めています。
先日、お客様から質問のあった手形割引という資金調達方法を調べましたが、お客様の約束手形を拝見させて頂く機会がありました。数枚ある中に数社から裏書された手形がありましたので、今回は手形裏書について考えてみます。

裏書の記入で気をつけること

手形は有価証券として譲渡することが可能であり、現在のように振込が一般化するまでは企業間金融で活用された方法の一つです。もちろん、現在でも数は少なくなりましたが、手形を譲渡して支払いに充当している取引があります。
裏書の記入の際に最も注意したいのが「連続性」です。通常は手形を保有している譲渡人が被裏書人欄に受取人名を記載し受取人に渡します。この手形を第三者が保有し手形割引等を行おうとした場合、その第三者が正当な権利者として看做されず手形不備で返戻されます。これは手形の支払人にとって、正当な権利継承者に支払うことを担保するものでもあります。しっかり被裏書人が記載してあれば、拾った手形でも換金できないことになります。
あとは、所在地や住所の記載はなくても大丈夫ですが、記名と捺印は必要です。捺印は銀行取引印が一般的です。捺印の際には、その印鑑の正当性が確認できるように、欠けるなどの不鮮明な印影であれば拒絶されますのでご注意下さい。

裏書の抹消のしかた

譲渡することを無効とし譲渡人に権利を戻す場合は裏書を抹消する必要があります。
抹消は裏書欄一面にばつ印を付すことが必要となり、社名のみ抹消した場合は白地手形となって誰か別の人が拾っても換金できる権利となってしまいますので注意が必要です。ばつ印の中央に訂正印を押すことを記載しているコメントも見かけますが、ばつ印だけでも有効です。社内の管理上で訂正印があった方が望ましい、とは思われます。
割引した裏書手形が不渡りとなった場合は、受取人が受け取った権利を遡及する為に手形を譲渡人に戻していきます。その際に裏書が抹消され、結果として手形に起因する権利譲渡が行われなかったことになります。このように順々に遡及され、最終的には支払人に戻るという流れです。
なお、抹消は被裏書人欄まで含めて付します。約束手形は有価証券なので通常はとても綺麗な状態で扱われますし、見た目が整っています、しかし、大きなばつ印がつくので、かなり目立つ手形に変貌してしまいます。